歌姫農園HP 楽農随筆選
楽農随筆選
今年の秋を振り返って~秋桜が教えてくれたこと~
8月の初め、毎年のごとく〝青森ねぶた祭り〟に参加した私は、1週間ぶりに歌姫の畑に帰って来ました。夏の盛りと言う事もあり、野草も野菜も一段と立派に生育して私を元気に迎えてくれました。たった1週間とは言え、久しぶりに見る歌姫の風景が何だか懐かしいような‥‥。ほっとした安心感を覚えながら、しばらくの間、畑を見ていました。そんな時『畑をぐるりと囲むあぜ道にコスモスの花が咲いていたらかわいいだろうなぁ‥‥。』そんな思いが、ふっと頭をよぎりました。そして目を閉じて想像してみたのです。白やピンク、紅色のコスモスが野菜と共に風に吹かれて咲いています。その姿は、短い命を全うしているかの様に一生懸命咲いているのです‥‥。そんな事を考えている内に、どうしてその風景を現実のものにしてみたくなりました。

通常コスモスは4~5月頃に種を蒔き、10月頃に可憐な花を咲かせると言われています。しかし季節は8月‥‥。『今から種を蒔くのは、どう考えても遅いよなぁ。2ヶ月では無理か‥‥。』そう思いながらも、もう一人の自分が『あれこれ考えずに蒔いてごらん。やってみないと分からないよ‥‥。』と心の中で呟くのです。結局悩んだ末、とりあえず種が確保出来るかどうか園芸店に電話してみました。しかし、その返事は『時期が遅すぎますねぇ‥‥。又来年お願いします。』と言われるばかりです。『こうなったら直接行くしかないなぁ‥‥!!』どうしても諦めきれない私は、気が付くとコスモスの里で有名な〝大柳生〟を目指して車を走らせていたのです。

やっとの思いで〝大柳生〟に到着。しかし真夏の昼下がりでは、農作業をする人影もまばらで、なかなか村人に出会う事が出来ません。半ば諦めかけた頃、コスモスの種を保管しているという方に、巡り会う事が出来ました。突然の訪問にその方は、『どこから来たの?なぜコスモスの種を蒔きたいの?』と私に質問されました。私が作りたての名刺を差し出しながら事情を説明すると『この時期、コスモスの種を持っているのは村中探しても俺ぐらいやで‥‥。ほんま、よう来たわ‥‥。』と苦笑しながも袋一杯の種を快く分けて下さったのです。そして御自分自身、2週間前に蒔いたという畑を案内して下さり『コスモスの事を思って大柳生まで来てくれた事が何よりも嬉しかった‥‥。』最後にそうおっしゃって私を見送って下さったのです。

歌姫に戻り、早速コスモスの種を蒔こうとした私に阿藤さんがこんな事をおっしゃいました。『この歌姫をひとつのキャンパスと思って自分の思うように種を蒔いてごらん...』 その言葉が今も私の心に響いています。そして自分のキャンパスにも “ 自分らしさ ”と言う世界にひとつしか無い絵の具で、力一杯 描いていきたいと思いました。
2ヶ月後、季節はずれに蒔かれたコスモスは大小さまざまな花を咲かせてくれました。まるでその姿は、自分に自信が持てず立ち止まってしまう私に『最後まで諦めないでね、自分を信じてね...』と教えてくれているかのようでした。 今年の夏、 コスモスの芽を初めてみつけた時の 飛び上がる程の感動を 私は決して忘れません。 そして又来年、その子供達と逢える日を楽しみに...心から 『ありがとう』 と言いたいです。


2003年秋、歌姫農園の風景です。野菜達も、のびのびと立派に生育してくれました。
高島 佐和
ある事象を、無性に懐かしく思い出す事が多くなる歳を迎えた。戦争で疎開を余儀なくされ、そのまま中学までを過ごした田舎暮らし。真夏の草いきれの中、友達と小山を開墾して育てた西瓜と、まっか瓜の熟れ具合を確かめ互いに“にぃー”と笑いあったあの頃・・・。当時、工事後の電線屑や一升瓶を売って種や苗を買った事などがセピア色のファイルを通して鮮やかに蘇る。翻って今日、あの頃の土に頬擦りしたくなるような感動を再び体験したく“歌姫”に通う。全くの素人からの野菜作り、天然自然農法という環境にやさしく、草木、昆虫等との共生という理念に、まるで初恋の人に逢ったようなさわやかな、みずみずしい感動を覚える。野菜作りに限らず、この理念は私のちっぽけな生き様に合流する。今は、一仕事終えた後のビールのうまさが勝っているが、ちょっとずつ時間を増やし味付けされたリポートが書けるよう野菜(恋人)を愛する。
今村 暁雄
『言葉の力』
8月の末からホームヘルパーの仕事を始めました。利用者さんの家に向かう途中、ラジオをつけているとある番組で〝言葉の力という特集をやっていました。特集の内容は、『あなたの好きな曲は何ですか?』というもので、その好きな曲の歌詞で『元気が出た!!』とか『勇気をもらった!!』などなど‥‥言葉を通じて印象に残る曲をリクエストして下さいというものでした。そもそも言葉の『言』という漢字の意味は『ものをいう、口に出す、話しかける、よぶ,問う』などがあります。辞書を見ながら,どんな単語があるのかなぁと思い眺めていると『言霊』(ことだま)という文字をみつけました。その意味は『ことばにやどっているふしぎな力』というものでした。昔の人にも、言葉というものは、使い方によって人々に勇気を与えたり励ましたりする不思議な力があるのだと信じていたに違いありません。
ホームヘルパーの仕事を始めて約2ヶ月‥‥。結局,ヘルパーの仕事で一番大切な事は『昼間独りで過ごすおじいちゃん、おばあちゃんの話し相手になり、少しでも寂しさを忘れて頂く事だ』と最近つくづく感じています。どんなに決められた仕事だけやっていても、その利用者さんの存在を無視したり,思いやる気持ちを忘れてはヘルパー業を続けていく事は難しい事だと感じたからです。『おばあちゃん、最近寒いですねぇ‥‥。体の調子はどうですか?』その一言からすべてが始まります。私自身、いつも心のどこかで、『おーい、私はここに居るよ。』と叫んでいる様な気がします。懐かしい友達,新しく出逢った人々の心どこかに自分がいて、たまには想い出してくれていたら嬉しいと思っているからです。
さて農業でも同じ様な事が言えるのではないでしょうか?先日,畑で私の蒔いた野菜の種の発芽率が悪いという話を阿藤さんとしていた時の事‥‥。『高島さん、種を蒔く時、どんな気持ちで蒔いているか?』と聞かれて私は,はっとしました。種の量,筋と筋との間隔、そんな事ばかり気にして一番大切な事を忘れていたからです。それは作物を思いやるという事です。何も考えずただ種を蒔いた作物よりも『りっぱな芽を出してね、丈夫に育ってね‥‥』と思いながら蒔いた作物の方がきっと豊かな実りを与えてくれることでしょう。たとえ言葉に出さずとも心で念じれば作物もそれを感じとってくれる様な気がしてなりません。
ホームヘルパーの仕事と農業、全く違う様で実は同じ事なのかもしれません。人と人とのつながりも、自然と人間との関係もそれは生きているもの同士みんな一緒で対等でなくてはならないからです。これからは,少しづつ少しづつ、時間を掛けながら、作物達に話しかけ又その声を聞きたいと思います。私は今日も青空の下,畑で楽しい汗を流しています。
高島 佐和
今年の秋を振り返って~秋桜が教えてくれたこと~
8月の初め、毎年のごとく〝青森ねぶた祭り〟に参加した私は、1週間ぶりに歌姫の畑に帰って来ました。夏の盛りと言う事もあり、野草も野菜も一段と立派に生育して私を元気に迎えてくれました。たった1週間とは言え、久しぶりに見る歌姫の風景が何だか懐かしいような‥‥。ほっとした安心感を覚えながら、しばらくの間、畑を見ていました。そんな時『畑をぐるりと囲むあぜ道にコスモスの花が咲いていたらかわいいだろうなぁ‥‥。』そんな思いが、ふっと頭をよぎりました。そして目を閉じて想像してみたのです。白やピンク、紅色のコスモスが野菜と共に風に吹かれて咲いています。その姿は、短い命を全うしているかの様に一生懸命咲いているのです‥‥。そんな事を考えている内に、どうしてその風景を現実のものにしてみたくなりました。

通常コスモスは4~5月頃に種を蒔き、10月頃に可憐な花を咲かせると言われています。しかし季節は8月‥‥。『今から種を蒔くのは、どう考えても遅いよなぁ。2ヶ月では無理か‥‥。』そう思いながらも、もう一人の自分が『あれこれ考えずに蒔いてごらん。やってみないと分からないよ‥‥。』と心の中で呟くのです。結局悩んだ末、とりあえず種が確保出来るかどうか園芸店に電話してみました。しかし、その返事は『時期が遅すぎますねぇ‥‥。又来年お願いします。』と言われるばかりです。『こうなったら直接行くしかないなぁ‥‥!!』どうしても諦めきれない私は、気が付くとコスモスの里で有名な〝大柳生〟を目指して車を走らせていたのです。

やっとの思いで〝大柳生〟に到着。しかし真夏の昼下がりでは、農作業をする人影もまばらで、なかなか村人に出会う事が出来ません。半ば諦めかけた頃、コスモスの種を保管しているという方に、巡り会う事が出来ました。突然の訪問にその方は、『どこから来たの?なぜコスモスの種を蒔きたいの?』と私に質問されました。私が作りたての名刺を差し出しながら事情を説明すると『この時期、コスモスの種を持っているのは村中探しても俺ぐらいやで‥‥。ほんま、よう来たわ‥‥。』と苦笑しながも袋一杯の種を快く分けて下さったのです。そして御自分自身、2週間前に蒔いたという畑を案内して下さり『コスモスの事を思って大柳生まで来てくれた事が何よりも嬉しかった‥‥。』最後にそうおっしゃって私を見送って下さったのです。

歌姫に戻り、早速コスモスの種を蒔こうとした私に阿藤さんがこんな事をおっしゃいました。『この歌姫をひとつのキャンパスと思って自分の思うように種を蒔いてごらん...』 その言葉が今も私の心に響いています。そして自分のキャンパスにも “ 自分らしさ ”と言う世界にひとつしか無い絵の具で、力一杯 描いていきたいと思いました。
2ヶ月後、季節はずれに蒔かれたコスモスは大小さまざまな花を咲かせてくれました。まるでその姿は、自分に自信が持てず立ち止まってしまう私に『最後まで諦めないでね、自分を信じてね...』と教えてくれているかのようでした。 今年の夏、 コスモスの芽を初めてみつけた時の 飛び上がる程の感動を 私は決して忘れません。 そして又来年、その子供達と逢える日を楽しみに...心から 『ありがとう』 と言いたいです。


2003年秋、歌姫農園の風景です。野菜達も、のびのびと立派に生育してくれました。
高島 佐和
ある事象を、無性に懐かしく思い出す事が多くなる歳を迎えた。戦争で疎開を余儀なくされ、そのまま中学までを過ごした田舎暮らし。真夏の草いきれの中、友達と小山を開墾して育てた西瓜と、まっか瓜の熟れ具合を確かめ互いに“にぃー”と笑いあったあの頃・・・。当時、工事後の電線屑や一升瓶を売って種や苗を買った事などがセピア色のファイルを通して鮮やかに蘇る。翻って今日、あの頃の土に頬擦りしたくなるような感動を再び体験したく“歌姫”に通う。全くの素人からの野菜作り、天然自然農法という環境にやさしく、草木、昆虫等との共生という理念に、まるで初恋の人に逢ったようなさわやかな、みずみずしい感動を覚える。野菜作りに限らず、この理念は私のちっぽけな生き様に合流する。今は、一仕事終えた後のビールのうまさが勝っているが、ちょっとずつ時間を増やし味付けされたリポートが書けるよう野菜(恋人)を愛する。
今村 暁雄
『言葉の力』
8月の末からホームヘルパーの仕事を始めました。利用者さんの家に向かう途中、ラジオをつけているとある番組で〝言葉の力という特集をやっていました。特集の内容は、『あなたの好きな曲は何ですか?』というもので、その好きな曲の歌詞で『元気が出た!!』とか『勇気をもらった!!』などなど‥‥言葉を通じて印象に残る曲をリクエストして下さいというものでした。そもそも言葉の『言』という漢字の意味は『ものをいう、口に出す、話しかける、よぶ,問う』などがあります。辞書を見ながら,どんな単語があるのかなぁと思い眺めていると『言霊』(ことだま)という文字をみつけました。その意味は『ことばにやどっているふしぎな力』というものでした。昔の人にも、言葉というものは、使い方によって人々に勇気を与えたり励ましたりする不思議な力があるのだと信じていたに違いありません。
ホームヘルパーの仕事を始めて約2ヶ月‥‥。結局,ヘルパーの仕事で一番大切な事は『昼間独りで過ごすおじいちゃん、おばあちゃんの話し相手になり、少しでも寂しさを忘れて頂く事だ』と最近つくづく感じています。どんなに決められた仕事だけやっていても、その利用者さんの存在を無視したり,思いやる気持ちを忘れてはヘルパー業を続けていく事は難しい事だと感じたからです。『おばあちゃん、最近寒いですねぇ‥‥。体の調子はどうですか?』その一言からすべてが始まります。私自身、いつも心のどこかで、『おーい、私はここに居るよ。』と叫んでいる様な気がします。懐かしい友達,新しく出逢った人々の心どこかに自分がいて、たまには想い出してくれていたら嬉しいと思っているからです。
さて農業でも同じ様な事が言えるのではないでしょうか?先日,畑で私の蒔いた野菜の種の発芽率が悪いという話を阿藤さんとしていた時の事‥‥。『高島さん、種を蒔く時、どんな気持ちで蒔いているか?』と聞かれて私は,はっとしました。種の量,筋と筋との間隔、そんな事ばかり気にして一番大切な事を忘れていたからです。それは作物を思いやるという事です。何も考えずただ種を蒔いた作物よりも『りっぱな芽を出してね、丈夫に育ってね‥‥』と思いながら蒔いた作物の方がきっと豊かな実りを与えてくれることでしょう。たとえ言葉に出さずとも心で念じれば作物もそれを感じとってくれる様な気がしてなりません。
ホームヘルパーの仕事と農業、全く違う様で実は同じ事なのかもしれません。人と人とのつながりも、自然と人間との関係もそれは生きているもの同士みんな一緒で対等でなくてはならないからです。これからは,少しづつ少しづつ、時間を掛けながら、作物達に話しかけ又その声を聞きたいと思います。私は今日も青空の下,畑で楽しい汗を流しています。
高島 佐和
by tsungara
| 2009-10-05 23:02
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