宮崎・岐阜百笑一揆

2009年 10月 07日 ( 2 )

羽ばたけ歌姫農園!HP!

はばたけ歌姫農園

『はばたけ歌姫農園』とは天然自然農法会が発行する新聞です。現在年間4回季節ごとに発行し、主宰と研究員が中心となって取材、編集、印刷を行っています。読者は会員を中心に講座の受講生や大学の講義等にも活用し、発行ごとに部数を伸ばしています。内容のほうも研究員報告、農園日記、農業多事と項目を決め、研究内容や新技術の発表と充実しています。
下記の各号をクリックすると記事を閲覧することができますので是非ご覧下さい。

2003年夏号

2003年秋号

2003年冬号

2004年春号
by tsungara | 2009-10-07 21:56 | 歌姫農園

歌姫農園HP 研究論文。

研究論文

『環境管理技術 Vol21 No.5 p242~247 (2003.10) 』発表分



天然自然農法への道

阿藤鋭郎(あとう  としろう)

環境改善型農業「天然自然農法」入門(1)

 奈良・大和盆地の北寄りにある平城京では、大極殿の復元工事が進んでいる。その工事を左横に見ながら約1㎞歌姫街道を北進し、歌姫神社をすぎたところの街道横に天然自然農法の研究農場がある。素朴な看板を見落とすと雑草の生い茂った休耕田かと思われる農場である。その実験農場の主宰者が阿藤鋭郎氏である。
 2001年11月、近畿大学農学部祭の各研究室が行う催し物の一つとして筆者が「HACCP相談コーナー」を担当した「食品安全で最も大事なのは、原材料の安全性だと思うが、貴方はどう思うのか」との意見を持って乗り込んできたのが、天然自然農法研究会の阿藤鋭郎氏であった。
 僕も、良い原料から適切な処理をすれば良い食品が出来るが、悪い原料や不適切な処理では良い食品が生まれないことは、品質管理の立場から理解し、総合衛生管理製造過程ではそのような見方が欠けていることを指摘していたので、即座に意気投合した。その後、時間をかけて天然自然農法の考え方のレクチャーを受けたり、朝日カルチャースクールにおける阿藤鋭郎氏氏の講義を聴いたりし、この方法のすばらしさの一端を理解できるようになった。
 近畿大学農学部農芸化学科の講義で、僕が「土壌微生物学」を担当していたので、その特論として1コマ(90分)の講義を担当してもらうことにし、2人がかりで講義用のテキスト作りを始めた。2人の話し言葉では良く理解できていたことが、図表や文章にしていくと色々納得できない部分も出てくる。お互いに参考文献を見たり考えたりして、僕自身が納得できるレベルの講義資料になった。この経験は、阿藤鋭郎氏氏も頭の中でもやもやしているところを整理するのに役に立ったようである。その後、参考文献に示した一書を上梓されている。
 今回、本誌上に数回にわたり天然自然農法について紹介させていただくことになった。まず第1回は、阿藤鋭郎氏がなぜ天然自然農法を考え始めることになったかの歴史を、阿藤鋭郎氏自身に語っていただいた。次回以後、この農法の5つの原理・原則の解説、研究会に集まった人たちの意見・考えなどについて順次紹介していきたい。

参考文献
阿藤鋭郎「天然自然農法のすすめーー天然自然農法はどうだを世に問う」、アセンス(Fax.06-6245-7058)、2003.02、大阪、\1905.-
                                          (2003.10.01 近畿大学農学部、米虫節夫)
はじめに
お盆で田舎に帰省した後、都会に帰ってくる時、おみやげに野菜や果物をもらうことが多い。その時、必ず一言がつく、「これらは農薬がかかってない自家用の物だから、安心して食べても良いよ」。有り難い言葉ではあるが、大変なことが話されていることにお気づきでしょう。通常の野菜や果物は、農薬がかかっており安全ではないことを、農家の人々は承知の上で、市場に出荷していると云うことです。
日本の産業界、特に工業分野では世界がこれを範とする全社的品質管理(TQC:Total Quality Control)が行われ、消費者の顧客満足度(CS:Customer Sutisfaction)の向上に努めています。それなのに、どうして農業の分野では、その様な考え方が導入されず、消費者である顧客の安全性を損なう様な製品(農産物)が、市場に出てくるのでしょうか。
本稿は、それらの疑問を直視し、TQCやCSの概念・手法を利用し、農業生産技術の向上と、消費者に安全で安価な農作物を供給し、その結果として、全く自然環境に負荷を与えることなく、むしろ自然環境改善型農業形態になる事を目指した私のつたない研究「天然自然農法」に関する中間報告です。
日本農業全体で、無農薬・無化学肥料での農業(いわゆる、有機農業)は全耕地面積の0.46%しか無く、つまり1%にもみたないのが現状です。さらに、日本農業においてTQC及びCS手法などの企業管理手法を導入した研究や、実践の例は寡聞にして知らない。しかし、今後の地球環境問題を考えるとき、農薬汚染や化学肥料汚染などの農業公害を抜きにして語ることは出来ません。この事例が、それら問題点解決の一助となれば幸いです。

1.天然自然農法とは何か
私が主宰する「天然自然農法」の研究会では、次の項目を「5つの原理・原則」と云っております。
①不耕起(耕さない)、
②無除草(草を抜かない)、
③幅広ウネ(ウネ幅を120cmにする)、
④無散水(水をやらない)、
⑤無堆肥(元肥、堆肥などをすき込まない)
天然自然農法では、以上の5つの原理・原則を守って農業を行います。故に、 農薬、化学肥料はもちろん、ビニールマルチ、木酢等、天然自然に存在しない物質は一切畑に持ち込みません。その結果、5つの原理・原則は相互に関係しあいながら、従来の農法では創造することが出来なかった相乗的な効果を発揮することとなります(図1)。

図1 5つの原理・原則 (うまい五角形に書き直してください)

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2.里山の生産力は農地の倍以上!
ここから少し想像力と経験則を働かせてみてください。
ここに里山があります。誰かがそこを耕し、草を抜き、水をやり、肥料を土の中に埋めていますか?・・・ ところが里山ではCO2から炭酸同化作用により1年間に10アール当たりバイオマスが乾物重量5トンも生産されているのです。もちろん人間が食べる食べないは別の話としてですが、それだけの生産力があるということです。田畑の作物とても、可食部分と非可食部分があるので同じことだといえます。
一方、田畑10アール当たり、人手をかけて耕し、除草し、水をやり、利用しきれない程の肥料をやっても、せいぜい乾物重量で2トン程度の収穫物しかないのです。
あなたの近所の里山が開発されました。環境保全先進国では、大切な表土はていねいにはぎ取り養生され、開発が終了すれば、その表土を用いて公園、公共施設などの緑化のために用いるように法律で定められています。しかし、日本では無頓着に開発されています。もちろん、表土の再利用など行われていません。森林表土が1センチできるのに100年近くかかるといわれる貴重なものなのですが。

むき出しにされた土地は、1年目にはわずかな草しか生えてきませんが、2年・3年と時間が経過し、5~6年もすればむき出しの土地も手がつけられない程の雑草(我々は野草と呼びますが)におおわれます。つまり人手をかけなければ自然の回復力及び生産力は限りなく5トンに近づいていきます。草が生えると、捕食者として毛虫やバッタなどの昆虫がどこからともなく集まります。さらに、その捕食者としてクモ・鳥などが集まります。草の量の増加に比例して食物連鎖は質・量共に増加して来るわけです。つまりは光合成、タンパク質合成が相乗的に増加していることを意味します。
このことは、裸地に降り注いだ太陽エネルギーが、無駄に宇宙空間に反射放出されることなく、効率よくエネルギー変換されたわけです。太陽エネルギーが植物体はもちろん昆虫や動物の肉、体液として蓄積されたことになります。
では目に見えない地中はどうでしょう。土壌は1g中に10の何乗もの微生物や線虫、数多くの昆虫類(その幼虫も含む)、ミミズやモグラに至るまで大きさも食性も異なる生物が生きています。土壌は、無機物ではなく「生き物」という方が良いくらいです。さらに、それらが生育する深さも、生物密度も共に経年変化し、質・量共に増加して最終的には、鳥類やイノシシ、鹿等の大型地上動物まで生息可能な土地となっていくのです。
このことから、簡単に言えば、草が倍生える土地は、作物が倍取れてもおかしくないという考えに至ったわけです。その概念図は次の様になり、私はこれを「環境生物のハッピー・サイクル」と呼んでいます。

図2. ハッピーサイクル 理論図
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3.農薬不使用の誓いから
ある青少年団体の指導者をやっていた私は、人、物、金の自給を標榜しつつ、消費する側から生産する側へなりたいと子供達共々年間100日以上にも及ぶ活動を行っていました。その一環として畑を借りて集会時の食事に自分たちが作った野菜を使用し、余った物は販売して活動資金の一部としておりました。
当時(今から30年前)、私は仕事で造園部門の責任者として農薬散布中に急性農薬中毒にかかり、農薬の恐ろしさを身にしみて実感しました。造園部門はどうしても仕事の性質上、農薬に関わらざるを得ないため、急成長部門であったにもかかわらず、その仕事から撤退することにしました。自ら撤退を決定すると云うことは、企業内失業を意味することとなります。他のことを知らない私としては大変つらい立場になるのはわかっていましたが、この決断は作業員と私の健康のためを考えると、今でも良かったと思っております。
青少年団体での農薬散布作業は当然私が担当して、子供達には一切触れさせておりませんでしたし、農薬の種類により異なる収穫前散布日数等は厳守しておりました。その頃、有吉佐和子著「複合汚染」の本を読み、びっくりしました。残留農薬やそれらの複合的作用については一切知らされていなかったからです。自分自身、勉強不足であったことなどが今でも悔やまれて仕方がありません。しかし、この本は私の決断が正しかったことを教えてくれたものです。
ところが、世の中それほど簡単ではありませんでした。無農薬にしてからは、良く取れていた野菜も全滅全滅でかろうじてサツマイモ、玉ネギぐらいしか収穫できなくなってしまいました。この頃は農薬は不使用にしたのですが化学肥料は使用しており、化学肥料と農薬がセットになっているとは夢にも思いませんでした。実は、造園関係の仕事をしているときは、骨粉、油かす、鶏糞等を、仕入れ先から比較的安く買えておりましたので良かったですが、その後は高価になるため、経済的な面で化学肥料に頼らざるを得なくなったのでした。そこで意地となって勉強し、実験しましたが全く駄目でした。

4.「里山の生産5トン」との出会いから「自然界に一人勝ちは無し」へ
今から15年ぐらい前のこと、運命的なことに出会いました。深夜の教育テレビで自然農法を提唱されている福岡正信先生の講演が流れておりました。この話を聞いて興奮のためまんじりともせず、翌朝早速、本を買い求めに本屋に直行しました。あまりの興奮で福岡さんの名前を取り違えて関係のない林学の本が手元に届いてしまいました。あまりのこととは言え、パラパラめくり読みをしていると、前述の「里山の生産が5トン」という記述に出会ったわけです。そして5トンが頭の中から離れなくなり、寝ても覚めても5トン5トンと繰り返しながら、福岡先生の本の注文も忘れて、そのことばかり考えておりました。
それまではいわゆるハウツー本で無農薬の勉強をし、自分の畑でその通りに実行しても書かれたとおりの結果が出ないので、完全に本からの知識の吸収はあきらめておりました。実はこのことが後に大変なことになるとは、まだまだその当時は夢にも思わなかったのです。

里山の高生産の秘密を見つけ出すため、筆記用具を片手に里山にある物と無い物を思考上で探してみました。TQCで云われる現状分析と同じことをしたわけです。そして里山を再現するための方法として、山に落ち葉が降り積もるごとく、土の表面を耕さない、水をやらないなどに思いつきました。農薬は既に消去しておりましたので、次に思いつくのは当然として化学肥料の利用です。しかし、農薬を使わないで、化学肥料を利用すると草と虫と病気が壁となりました。つまり、どうしても現代農法の除草剤、及び殺虫剤、殺菌剤利用につながる流れです。
毎日山を眺めてどうすればよいかを考えながら悶々としておりましたが、ふと屋久杉のこと、アメリカの巨木林のことを思い浮かびました。その様な頂点に立っている巨木を支えているのは数限りない多くの生物の寄り集まった生態系であり、その生態系では食物連鎖が基礎になっています。つまり「自然界に一人勝ちは無し」との原則でした。
従来の農業においては、作物だけを一人勝ちさせようとしていたことが今の混沌を招いている元凶であることに気がついたのです。今までは全滅したり、虫に食われたり、病気になった作物のことばかり考えていたのですが、その中には少量ながらでも生き残っているものがあり、その生き残りにはそれなりの理由があることに気がついたのです。この一人勝ちなしの原則がわかると、そこから芋蔓式に実にたくさんの情報を得ることが出来ました。うまくいった年の事例を分析してみると、草がたくさん生えて種類も多く、耕さなくても土がふかふかと黒々しており、その頂点に作物があるのでした。やっと畑の中に屋久杉を見いだすことが出来たのです。現場を謙虚に見つめることの大事さを改めて確認しました。
生物の一生は長寿命であれ短寿命であれ生を全うすることは一緒であり、巨木であれ、一年草であれ、同じであると思うに至りました。そして一年一作としてとらえていた農業を、小松菜や二十日大根での種まきから収穫まで、時間を短縮してみることができる作物で観察する事が可能なことに考えが至りました。その結果、この手法を知ってから私の拙い理論も飛躍的に発展することとなりました。

5.天然自然農法の環境管理
現状分析から「自然界に一人勝ちは無し」がわかり、良かった原因探し(事例研究)から段々本稿の主旨、環境管理技術が見えてきました。
農業の生産物は、食品です。食品に求められる品質とは何かを考えてみると、①美味しい、②見た目が良い、③価格が安く安定している、④栄養価が高い、⑤安全である。これら全てを満足した場合は、その食品を食べていただける消費者の顧客満足度が高いといえるでしょう。もっと満足度をあげたい場合は、自然の摂理に反することになるかもしれないが、ブランド、希少性、季節はずれ等が考えられます。しかし、その様な農産物は価格が高いとかその他色々の問題点があるので除外しておきます。
一方、農業従事者、すなわち農産物の生産者とすれば ⑥コストが低い、⑦機械化することができるか等も大きな因子です。
人間の生産活動において劇物指定もしくは毒物指定を受けている多種多量の化学物質を規制はあるもののいわば野放し状態で散布・保管している産業界は、農薬業界以外に私は知らない。農業界が自然環境に与える悪影響は甚大です。敢えて⑤にある安全は、本当に「顧客の安全」を第一に考えているのだが、生産する側に都合の悪いデータは取らない、公表しない、無視するの三原則により、今までは人目に触れることはあまりにも無かったといえるでしょう。最近になりやっと、農薬従事者、農薬散布者等の健康問題が新聞紙上などにも出る様にはなってきましたが。

農業が減農薬、無農薬へと大きくシフトを取りつつある昨今、賢明なる読者の方々は、前述の5つの原理・原則を思い出していただければ、天然自然農法の環境に対する影響についての答えは自づと出てくることに気づかれるはずでしょう。
①耕さずは、化石燃料を使用しない、作業時間短縮、つまりローコスト、
②無除草は、鎌で刈り敷き込み作業が早く、副資材のマルチ等を使わず、草は肥料となる。つまりローコスト、
③幅広ウネは、通常40cm通路、60cmウネ巾と比較して通路を除いた純生産ウネ上面積25%アップ。このことは畑農地が25%アップしたことになる、
④水やらないは、灌漑施設不要で、手間かからず、ローコスト、
⑤無堆肥は、元肥、堆肥等表面施肥、で手間かからず、ローコスト。
ローコストの技術、これこそ、我が天然自然農法による環境管理の神髄です。
一作毎にその場所に生えてくる草の量に比例して作物は、後からあたかも里山の高木のごとくたくましい生産物としてあなたの前に現れてくるのです。むろん、この項の①~⑦の全ての面で、全ての項目を満足させていることはいうまでもありません。農薬、農業機械、燃料、化学肥料、マルチ等の副資材を使用しないため、大変なローコストとなり、なおかつ化学肥料に替わる天然自然有機物を使用することによる社会資本及びごみの減量化、燃焼によるCO2、ダイオキシン等の有害物質の排出軽減、もしくは低下に寄与します。
当研究会の所有する上記の肥料化技術の使用と相まって環境に対する負荷は著しく低下すると確信しています。なお、この辺りのことにつきましては、拙著「天然自然農法のすすめ」副題”天然自然農法はどうだを世に問う”に詳しく書いてありますので、ご一読くだされば幸いです。

最後に、天然自然農法にいち早く着目していただき、この概念、技術、理論構成と普及についてご助言、ご指導いただいております近畿大学農学部 米虫節夫教授に厚くお礼申し上げますと共に、今後ともよろしくご指導下さいますようお願い申し上げます。

文献
阿藤鋭郎「天然自然農法のすすめ--天然自然農法はどうだを世に問う」、アセンス(Fax.06-6245-7058)、2003.02、大阪、\1905.-
by tsungara | 2009-10-07 21:37 | 歌姫農園

大いに笑いながら天然自然農法で豊作させましょう!
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